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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

山からのたより その23  2016年秋の巻

山からのたより その23  2016年秋の巻

山作業の手道具と仕事着       池谷キワ子
                            2016年11月10日 

寒くなりました。お元気にお過ごしですか。
日本の国は三分の2が山で、ほとんどが山頂まで厚く森林に覆われています。
外国人は自国の川と比較して、
「河川ではなくてあれは滝だ」なんて言われるほど急流の部分が多いのです。
山も傾斜がきつく、成り立ちが複雑な地形となっているので、
森林を育てて伐り出すのになくてはならない林道が造りにくいというわけです。

私は調布市に住み、車を1時間余運転して、あきる野市養澤の林地に通っています。
中央高速を調布インターでのると、はるか遠くに丹沢山塊と奥多摩連峰が望まれ、
八王子出口に近づくにつれて今度は大岳山、鋸山、
三頭山といった秋川を育む山並みが立ちはだかってきます。
特徴ある大岳山の、象が寝そべった姿はそこからの道中ずっと見えていて、
五日市駅付近になって、さらに近くの金毘羅山、馬頭刈山にさえぎられてきます。
それから10分ほどで養澤の山ふところ辿り着くと、四方は一面の「みどり」、
スギヒノキの人工林が多くて、それが「緑豊か」とも「年中ダークな色で鬱陶しい」ともいわれます。
私にはほっとする眺めです。
仕事を終えて調布の家にかえるとき、次第に山々が遠ざかり視界から消えていくと、
わたしは後ろ髪引かれる感じになります。
日暮れが早い枝打ち時期(秋から冬の間)には月がのぼり出し、
ずっと調布まで道づれにすることがあるのは楽しいものです。

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(養澤の家周辺。臼杵山を望む)


今日の主題は「山の手道具」です。

「鎌(かま)、鋸(のこ)、鉈(なた)」これが山仕事の基本的三種の神器。
それぞれに用途によって大きさや形が変わって各種あります。
これらは長い間愛用されてきていて、毎日何度も砥いだり目立てをしたりして
自分のからだの一部のように大事に使い込んでいくものでした。
柄は自分の手に合った太さに手づくりする、刃渡りも望むような大きさに鍛冶屋で
オーダーメイドする、砥いで鋼が擦り切れるまで使うというふうでした。
いまではのこぎりの替え刃や安価な鎌が出回り使い捨てが一般化してきました。
その上チェンソーや刈払機、枝打ちロボットなどの石油系の動力機械の普及で、
効率も抜群に高まり危険もさらに増しました。
どんな道具も山仕事では、木や固い草を伐り、研ぎ澄ました刃物を振り回す世界ですから、
足元不安定な山では危険と隣り合わせです。
それだけに集中して作業にうちこむとき、「余念がない」という言葉がぴったりとなります。

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(長鎌と手鎌、鋸各種)

父もユウさんも自分の身の丈に合った手道具を分身のようにいとおしんでいました。
いま残された彼らの、汗がにじんで使い古された道具をみると、
山で笑いあっている二人の姿が目に浮かんできて懐かしくなります。

yama23-04.jpg


次に山作業のスタイルです。頭にヘルメット、もちろん長袖長ズボン、地下足袋、首に手拭い、
軍手、ベルトに下げた鋸や鉈(なた)とそのほかの七つ道具。
どこにでも座われて汚れていい格好は「昔のバンカラ調」です。それを勝手に粋がっています。
地下足袋は、山の凸凹の地面を足裏がしっかり抱いて滑りにくい、
枝打ちで梯子や枝に乗ってしっかり立っていられる履物です。
数少ない女性サイズもこの頃は手に入りやすくなりました。
今時はやりの山ガールと林業女子は、少しスタイルが違います。
林業では作業をしますから。

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(鉈は右が枝打ち用、左は腰用の細鉈)

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(道具小屋。左に刈払い機、右にヘルメット)

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(葉の香りが強いクサギの花)       

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(サラシナショウマ、根に薬効がある)

私はちょっと変わり者で、枝打ち時以外はいつもゴム長靴を履いています。
この紙面に、仕事着のさまざまな格好や、まだほかにもいっぱいある手道具の
写真や解説を載せられないのが残念です。

岳人、田部井淳子さんは「山に行くと体の細胞が『解放』となって、
イキイキしてくる感覚があった~」そうで、森林の中にいると、確かにのびやかな気分や
身体のリフレッシュを貰らえると思っています。
今年の紅葉は遅くて地味な色合いです。
  1. 2016/11/13(日) 19:46:35|
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