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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

芳しい香り 口切り

茶会の朝
早いもので、11月の日も残りわずかになりました。
今月は、茶道の世界では、「炉開き」、「口切り(くちきり)」とい
った節目の茶事があります。私は気持ちだけは節目を楽しもうと、そ
の真似事で忙しく過ごしております。

「口切り」とは、今ではほとんどされていないことですが、昔は春の
新茶(碾茶てんちゃ/抹茶の原料)が仕上がると、茶壷に入れて密封
貯蔵し、ゆっくりと熟成させ、11月になると封印した茶壷の口を切り、
茶を取り出し、茶臼で挽いて、お茶を点て、今春仕上がった茶を初め
て味わった、というその名残として、現在はいつでも新鮮で美味しい
抹茶が手に入りますが、あらたまった気持ちで11月を迎え、集い、
今年の新茶を尊び、祝います。

先の日曜日の「口切り」の会は、長閑で楽しいひと時でした。
お稽古ですから、茶臼で挽くお茶は皆でかわりばんこ。部屋の片側で
はお茶を点てる人、茶を飲む人、お菓子を食べる人、片側では、お茶
を挽く人、手助けをする人。挽き立てのつやつやとしたお茶の緑の香
りと、それを点てたお茶の香りが部屋中に広がり、皆で集う和やかな
風景は和やかで、本当に有り難いものでした。

初めてお茶を挽く方には、時計と反対回りに茶臼をまわすこと、
(なぜ、時計と反対回りに回すかは分らないのですが…)ゆっくり、
ゆっくりと挽かねばならない、その気の長い作業も新鮮な驚きのよ
うで、上下の石の間からじんわりじんわりこぼれてくる少しずつの
挽かれた抹茶を、大事に見守るような視線が印象的でした。
市販されている抹茶も、機械でこそ回していますが、昔も今も石の
臼で挽かれています。茶葉の品質はもちろんありますが、石の材質、
石目の切り方によって、さらには挽き方の良し悪しによって茶の風
味は驚く程違ってくることを、自らの手で茶を挽いて初めてそのこ
とを認識することができました。

茶道の世界の11月。日常からはかけ離れたものですが、日々のお茶
を美味しく飲む上で、年に一度、毎年、心を少しだけ謙虚にさせ、
あらためてもらっています。




  1. 2011/11/26(土) 14:26:28|
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忘れた携帯マグ

携帯マグ
空気が澄んで、気持ちのよい秋晴れの朝。
元気に家を飛び出し、思わず小走りに坂道を上がって、下っていると
「けいこ、おいっ、けいこ!」
ん?父の声が近くで聞こえる。

振り向けば自転車に乗った父がいた。
「おまえ、ほら、お茶忘れたぞ。お母さんが気がついて…ほら。」
「あー!!ありがとう!」

私は外出時には、よく携帯マグにお茶を淹れて持ち歩るくが、今朝は
岩しみず>を入れた携帯マグを、バッグに入れ忘れていたのだ。

携帯マグを家に忘れたところで、お茶はどこでも買えるのに…
店にいたはずの父が、よく小走りの私に間に合ったなぁ…
相当急いで来てくれたんだなぁ…

などと思いながら渡された携帯マグをほんのちょっと見つめていたら、
「あー、疲れた。」
と言いながら、父はすい~っと坂道を下っていってしまった。

たかが350mlのお茶のために、両親は大慌てしてくれたのだ。
普段は「おまえのお茶は道楽」と言われているが、私がお茶を大事に
思う気持ちを大事にしてくれているように思われて、いや、お茶その
ものを大事にしてくれたように思われて、心が弾んだ。

手間を惜しまずつくられたお茶は、団欒だけじゃなくって、こんな場
面もつくってくれるんだ。
こんな風に、ある時には、人の誠意を引き出しちゃうようなものが、
世の中から減っていくではなくて、増えていかないとな…。
それって、どんなものだ。
思いを巡らせながら、秋風心地よく、上機嫌で駅にむかった。

寒さに向う季節。<岩しみず>は、飲むと体が温まります。
これからの日常茶として、おすすめしております。













  1. 2011/11/17(木) 16:45:13|
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80歳の言葉

秋の庭
旅先で知り合った、80歳の方の言葉。

「80のお歳には見えませんが、でも、80年色々なことがありましたで
しょ?」と戦争体験を想像しながら問うた私。

「色々あったと言えば、あったし。なかったようにも思えるし。」
笑顔で返された意外な返事。

「でもね、この歳で1つだけ、分ったことがありますよ。」

「まぁ、なんでしょうか。」

「命は、1つしかない、ということです。」

80年の歳月を思い、この言葉に後が続けられず、その方も黙り込ん
でしまい、結局、そのままその方は「では、お元気で。」とベンチを
立ってしまわれました。

あの日から何度、この言葉を思い返したことか。
あの日からしばらくして、夏の終わりに、自らの命を絶ってしまった
仲間がいることを知った。

命は1つしかない、と噛み締める毎日です。




  1. 2011/11/13(日) 21:57:49|
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お店の紹介

せいすいさりょう

Author:せいすいさりょう


清水茶寮(せいすいさりょう)では、
無農薬・無肥料の、昔ながらの製法のお茶をはじめ、品種のもつ個性を活かして作られた煎茶、挽きたての抹茶、有機農法(バイオダイナミック農法)によるハーブなどをご用意して、日本のお茶の美味しさをご紹介しております。
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